 しが健康医療生協・専務理事 諏訪 健次さん | 今や医療崩壊は常識 ちぐはぐな現場と国政
諏訪 昨年は女性議員との懇談だったので、小児医療の問題、医者問題とか、結構議論になったんですが、今年は上半期で全国の病院の50パーセント、自治体病院をいれると80パーセントが赤字に転落をして大変な状況に今なっています。つい四、五年前には一般的には問題にならなかった「医者不足」とか、「医療崩壊」が、今みんなの常識になってきたところまで変化をしてきています。ところが一方では06年の「医療改革関連二十一法」が、今動き出しているんですね。だから、医療現場の実態と国政の動きがぐちゃぐちゃになっていて、医療現場が大変です。
それを言いたいわけじゃないんですが、今、問題意識として滋賀の行政との関係で言いますと、子どもの無資格保険証の問題ですね。全国で3万人。滋賀県で6自治体42世帯、79人の子どもに発行されているんです。これに関してはマスコミで全国的に報道されている「大津市方式」とか「草津市方式」という先進的な取り組みもあります。大津市の場合は18才以下の子どもを持っているところは滞納されても全部保険証を渡す。草津市の場合は18歳以下の子どもに限定ですけど、全部渡す。そういう滋賀からの発信で是非全自治体一気に解決をしていければいいなという思いがあります。
もう一つの思いは、「特定健診(メタボリック健診)」が始まった。これが今大変で、各市町村で受診率がた落ちです。受診表が来ない。これまでは自由にかかれたのが、今度は受診表が来なければ行けません。社会保険の家族の方とかが、社会保険から外れてしまいましたから、健診の実態が行政でつかめないんですね。このままいったら受診率は昨年の半分とか、3分の1とか、4分の1とかという結果になりかねない状況です。
私たちも努力をしていきたいと思いますけど、検診の問題では自治体の関与の権限がまだ相当にありますので、是非ご協力をお願いしたいと思っています。
もう一つの問題意識は、滋賀県はこれからも人口増が続く若い県ですけれども、ニュータウンが一気にオールドタウン化するということですね。私は栗東市ですが、今ドンドン新しい住宅が開発されていて子どもさんがたくさん歩いている。その隣の町は20年前に開発されて六十歳以上の人ばかりがドカンといる。こういう傾向は、大津、草津、栗東、守山とかありまして、これ後5年、10年したら、全部介護保険対象者なんですね。でもその介護力がない。滋賀県の産婦人科医の人口10万人あたりが下から3番目。小児科の乳幼児の死亡率はワーストワンとかね。滋賀県の医療、介護力はものすごく不足している。だから後5年、10年経った時、どうなるのか。
是非ご一緒に考えていただけたらと思っています。 | |
地元の業者と地域が信頼関係築く公共事業
出原 さっき松沢知事のマニフェストの件ですが、災害が起こった時に頼りになるのは、土木建築業の機械設備なんだよね。そうした時に地元の業者を育成するという視点にみんなが立たないといけないと思う。しかし、現実は、公共事業は減ってくる。一方では、県の仕組みも市町村の仕組みも、一般競争入札。ゼネコンがドンドン入ってきて、結果的には地元業者ははみ出してしまう。で、経営破たんに陥ってしまう。こんな流れに今なってきているんじゃないかな。そうした時に本当に、地元の業者が地域と一緒になって、信頼関係をお互いに築きながら、そしてそこがしっかりと頑張っていけるような、なんか仕組みを考えないとね、大変な事になると思うな。
地元の土木建築業の人たちが、健全経営をやって、地元へも信頼関係を築いて、イザという時には県民のために動いていただける。こんな形を作らなければいけないんじゃないかなと思うんだけどね。何かいい知恵がないのかな。
藤井 木のおろしやすい林道を作っていくということで、林道の作り方も全然違うんですって。「できない」というのではなく、「やる」と決めて、「やるためにはどうするのか」と議論しませんと。 | |
人が利用しての山や森と親しむ仕組みを
池田 先ほど西川議員がおっしゃった「古木を伐採する」というのは、コープこうべなんかが地元の山の一定区間決めてずっとやっているんですよ。
我々も周辺の森が荒れたら琵琶湖の環境悪化は絶対回復しませんから、この問題意識はかなり持っていて、この間の生協大会にも森林ボランティアの方にも来ていただいて、講演をしていただいたんです。
海老澤
私今度あるNPOとの共催で身体に障害を持った方が森に入られて竹を切り倒してドサッという体験をして、それを使って何かをやっていこうという取り組みをするんですが、まだ竹なら何とかできるんですけど、これが木材になるとかなり危ないんですよ。
朽木の体育館を作るということで、記念式典で中学生が大木の皮をはがしたんです。切り倒してもらうのは、もう業者さんしか仕方がない。中学生はヘルメットをつけて、みんなしてガーッとはがすというのはすごくいい経験になったなと思うんです。生協の組合員さんが山の中に入って木を切るというのは、危ないのでは難しいなあと思うんですが、こういう取り組みならできるかなあと思うんです。
それから、「なら枯れ」という話がありましたけれども、老木がそうなるんですよね。大体楢というのは20年までに切って、それを利用していたんですけど、それを利用しなくなったがために、老木になって、そこに虫が入りやすくなって枯れる。やっぱり若い時に利用してきた循環ができなくなったということが原因で、そこをもう少し利用していく道筋を考えなければいけないなと思っています。やっぱり、「利用して」の、「人が入って」の山ですので、そこのところを仕組みづくりが非常に大事やなと思っています。
生協の組合員さんが森に親しんでいただけるというのはありがたいのですが、とにかく私、山に人が入っていほしいと思うんです。今、鹿などの、「獣害」の問題でものすごく悩んでいましてね、人が入る事によって、獣が出て来づらくなる。いつも人の声が山の中でしているという状態をまず作って欲しいなと、作って行きたいなというのが一つあります。そこに獣と人間の住むところのまでの空間地帯、そこをなんとか作っていかないと、これはどうしようもなく侵食してくるなということがあります。
司会 一応予定していました時間がそろそろ来ましたので、2時間半にわたる懇談会、最後まで、熱心に御参加いただきましてありがとうございます。
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